【八ヶ岳と富士山】 諏訪の民話や伝説

八ヶ岳と富士山

冬の八ヶ岳ビュースポット2

 

昔々、八ヶ岳は富士山に引けを取らない高かさのやまでした。二つの山は、山々の中でもとても際だって高く見えました。富士山は女の神様、八ヶ岳は男の神様でした。

 

あるとき、二つの山の神様は、自分が一番高い山だと背比べの争いを始めました。
「私が日本一高い山ですよ。」と言えば、「日本で一番高い山は私だ」と、どちらも強気で、お互いに譲りませんでした。

 

こんなことが、何年も何年も続きました。この様子を天の神様は「神様どうしが争いをするなんて、本当に困ったものだ。」と顔をしかめてご覧になっていました。

 

何か、良い知恵はないかと考えました。ある時、富士山から八ヶ岳まで長いトイをかけて、水を流せば、水は正直ですから少しでも低いほうに流れます。どちらの山が低いかこれで分かると考えました。

 

さっそく天の神様はトイを作りました。長い、長いトイを富士山のてっぺんから八ヶ岳のてっぺんに掛けました。まるで一本の橋のようです。さあ、いよいよ水を流します。富士山と八ヶ岳の神様は、じっと見守りました。

 

天の神様は、トイの真ん中から静かに水を落としました。「さあて、水はどっちへ流れるでしょうか・・・」
「あっ!」水はピシャ、ピシャ音をたててどんどん富士山の方に流れていきました。富士山が低いことがはっきりしました。

 

さあ、大変です、富士山は黙っていません。「そんなこがあるものですか!ああ、くやしい!!」
いきなり、ありったけの力で、八ヶ岳を蹴飛ばしました。

 

ガーン!天も地も壊れてしまったかと思われるほどの物凄い音とともに、八ヶ岳の山頂は飛んでいき、頭の部分は八ヶ岳の北側に落ちて霧ヶ峰になりました。そして、八ヶ岳の頭の部分は八つに裂けて富士山より低くなりました。

 

2016年冠雪の八ヶ岳

 

その様子を見ていた八ヶ岳の妹の神様の蓼科山は、変わり果てた八ヶ岳を見てオイオイ泣きました。いつまでも泣くので、その涙は川となり、流れが溜まって諏訪湖になりました。しかし、そこで暮らしていた人たちは今まで生活していたところが水の中になってしまったので困り果てていました。

 

その様子をデイラボッチという大男が見ていました。
この男、雲に頭が届くほどの大男だったので、山を作ったり、湖を埋めたりしていました。

 

デイラボッチは諏訪湖を埋めて村人たちを助けてあげようと八ヶ岳から土を運びました。土をモッコに入れて天秤棒を担いで運んでいると、粟沢村のあたりで天秤棒が折れてしまいました。代わりの天秤棒を探しているうちにモッコの土は地について動かなくなり、デイラボッチもどこかへ消えてしまいました。

 

峠の茶屋からの小泉山と大泉山2

 

今では、諏訪湖に近いモッコの山を小泉山、八ヶ岳よりのモッコの山を大泉山と呼んでいます。

 

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諸説あり

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