【信濃国の一宮】諏訪神社の総本社【諏訪大社とは】

古くから尊敬される信濃国一宮【諏訪神社の総本社】

 

本州のほぼ中央、日本の屋根たる高山に囲まれた諏訪湖のほとりに四社が鎮座している。

 

全国各地に一万有余社のご分社を持ち、諏訪神社と称するご分社の総本社として、諏訪湖南岸に上社の二社、北岸に下社の二社の四つあるお社の総称が諏訪大社である。

 

御柱祭の折に奥山から伐り出した樅の大木を曳行して建てた「御柱(おんばしら)」が四社の社殿の四隅に立っている。

 

 

国内にある最も古い神社の一つとされている。

 

 

創建年などは詳(つまび)らかではないが、諏訪大社は日本最古の神社の一つといわれ、「延喜式神名帳」には南方刀美神社(みなかたとみのかみのやしろ)の名で記されている。

 

信濃国四十八座の第一ともあり、古より信濃国一宮として崇敬されていた。

 

「諏訪大明神画詞」によると、天慶年間(九三八~九四七)に正一位の神階を授かったとある。

 

古くは別個の社だったが正式に統合され、明治四年(一八七一)に国幣中社に列格し、正式に「諏訪神社」と称した。

 

同年二十九年(一八九六)に官幣中社に列し、大正五年(一九一六)に官幣大社に昇格。

 

終戦後には神社本庁の別表神社となり、ご分社と区別するため、昭和二十三年(一九四八)に「諏訪大社」と改称した。

 

縁起とご祭神【建御名方神・八坂刀売神】

諏訪大社の主祭神は建御名方神(たけみなかたのかみ)とその妃神、八坂刀売神(やさかとめのかみ)である。

 

建御名方神は神代に国づくりに励んだ大国主神の御子神で、天照大御神が突然、父から国を取り上げようとしたことに猛反発。

 

すぐに国譲りに同意した兄神の八重事代主神とは異なり、天照大御神の使者、武御雷神に力比べを挑んだのだ。

 

だが、武御雷神の圧倒的な武力を前にして逃走。

 

出雲からはるばる諏訪湖まで逃げる羽目になり、二度と諏訪から出ないと武御雷神に誓ったとされる。

 

その後、建御名方神は諏訪の土着の神、洩矢神と戦って勝利を収め、八坂刀売神を娶り、十三柱もの御子神に恵まれたとされている。

 

諏訪大社は上社本宮に建御名方神、前宮に八坂刀売神を祀り、下社は春宮、秋宮ともに二柱を祀っている。

 

三韓に出兵した神功皇后や東夷平定に向かった坂上田村麻呂が、建御名方神から神助を得たという伝承があり、古くから関東第一の軍神、武家の守護神として尊ばれてきた。

 

また、建御名方神は蟄居(ちっきょ)の約束があるため、神無月に八百万の神々が出雲に戻るときも例外的に諏訪を離れないといわれている。

 

御神徳
狩猟の神 風の神 水の神 農耕の神 武芸の神 航海の神 商業の神

 

建御名方神のご神徳は多様だが、平安時代末期からは特に武神として知られるようになった。

 

今様の歌謡集「梁塵秘抄」で「関より東の軍神、鹿島、香取、諏訪の宮」謳われ、その後も源頼朝公や足利尊氏公、武田信玄公に徳川家康公など、名だたる武将たちの崇敬を集めいた。

 

これは建御名方神自身が強力無双だったこと、諏訪大社が地元の狩猟文化を尊重し、仏教伝来後も鹿食(鹿肉の摂取)を許可していたことなどが影響しているという。

 

現在でも狩りの獲物を神前に捧げる御頭祭をはじめ、上社の神事には特殊なものが残っている。

 

古代信仰を色濃く残す多様な神事

 

豪快な御柱祭の印象が強い諏訪大社は、年中行事の多いことでも知られる。

 

諏訪大社の神事は年間二百以上ある。

 

これは全国でも屈指の数で、一年間の半分以上を祭事にあてていることになる。

 

古代から続く神事をはじめ、その内容も実に多彩である

 

一月

歳旦祭(本宮・秋宮)

 

蛙狩神事・御頭御占神事(本宮)

 

 

綿之湯神事(秋宮)

 

筒粥神事(春宮)

皇室の繁栄、国家の隆盛、世界平和を祈る

 

御手洗川の氷を砕いて蛙を捉えお供えする。諏訪の七不思議
当年の祭事に奉仕する地区「御頭郷」を選定する

 

霊泉をたたえる神事

 

小豆粥を煮て、粥の状態で農作物の豊凶を占う。諏訪の七不思議

二月

遷座祭(秋宮~春宮)

 

節分祭(春宮・秋宮)

 

紀元祭(本宮・春宮)

秋宮の宝殿の神霊を神輿に遷し、春宮の宝殿に遷座する

 

追儺式 先に春宮で行い、引き続いて秋宮で行う

 

神武天皇建国の聖業を偲び、祖国日本の永遠の繁栄と世界平和の祈る

三月 祈念祭(本宮・春宮) 「年」は穀物、特に稲のことで、一年の豊作を祈る
四月 御頭祭(前宮) 前宮の十間廊で五穀豊穣を祈願。諏訪の七不思議
六月

御田植祭(上社)

 

御作田社祭・田遊神事(下社)

 

あやめ奉献奉告祭(春宮)

 

大祓式・夏越しの神事

早乙女が末社(藤島社)の斎田に早苗を植える

 

境外の末社(御作田社)の斎田で田植えを行う。諏訪の七不思議

 

境内に氏子などが丹精して育てた「あやめ」の鉢を並べる

 

茅で作った茅の輪をくぐり、半年間の穢れを祓う

八月

遷座祭(お舟祭)(春宮~秋宮)

 

御射山社祭(上社・下社)

春宮の宝殿の神霊を神輿に遷し、秋宮の宝殿に遷座する

 

数え年で二歳の稚児の健康を祈願する

九月 十五夜相撲神事(本宮) 相撲甚句に合わせて神前で相撲踊りを奉納
十月 神嘗祭当日祭(上社・下社) 伊勢神宮の収穫祭に合わせて実施する
十一月

菊花奉献奉告祭(下社)

 

新嘗祭(上社・下社)

境内に氏子などが咲かせた菊を飾る

 

豊かな実りに感謝し、来年の豊穣を祈る

十二月

大祓式・除夜祭(上社・下社)

 

御手幣送り神事(前宮)

大祓式で罪穢れを祓い、年間最後の祭典・除夜祭を斎行

 

末社(葛井神社)にて神事に手向けた幣帛などを葛井の池に投げ入れる。
諏訪の七不思議

 

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